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美味しい理由(わけ)「宇治茶」

2014.7.29

 7月よりCafé&Meal MUJIで販売を始めた日本茶。
生憎、関東も関西も大雪だった2月にお茶の産地である京都の宇治へ、お茶の話を聞きに行ってきました。

 お茶の苗木は、植えてから3年くらいから摘めるようになりますが、最初は木が若いのでまろやかな味が出ないそうです。一番おいしいのは10年~15年くらいたった木で、寿命は30年ほど。植えてから20年経つと次世代への改植準備が始まります。お茶も野菜と同様、土の質で味がかわります。また手間暇をかけたもののほうが味が良くなります。最近ではお茶自体が高い値段で売れなくなってきているので、それにあわせて手間暇もかけなくなり、良いお茶が少なくなってきているということでした。土づくり、手間暇がかけられるかどうかで、代々同じものができるかどうかが決まります。(=人次第)やはり本来持っている味がおいしくなければ、最終的に出来上がった製品も美味しくなくなるというお話でした。

 基本的に水はけが良い土地で作ることが多いお茶ですが、お茶の種類によっても合う土質がかわってきます。たとえば玉露だと粘土質、碾(てん)茶(抹茶の原料になるお茶のこと)だと砂地のほうが良いそうです。土には油かす(有機肥料)を入れたり、月肥えといって毎月肥料を入れたりと土づくりを行います。冬の間には、一番茶を刈りやすいように伸びた芽を整理、5月のGW後くらいの八十八夜(立春から数えて88日目)に、一番茶(新茶)を摘みます。6月下旬~7月初旬にかけては二番茶、秋に摘採したものは番茶や、碾茶であればお菓子用の抹茶にされるそうです。

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 今回訪れた宇治田原は京都府南部にある、海抜250mの山間部の町。日本茶発祥の地です。元々抹茶が主流だった宇治茶ですが、江戸時代中期に、この宇治田原で従来の製茶工程に抹茶と同じ「蒸し」工程を取り入れ新しい製茶法が編み出されました。従来方法の釜炒り製茶は生の茶葉を釜で炒り、揉みながら乾燥させる烏龍茶をはじめとする中国茶と同じ製法で、仕上がりは薄い緑色ですが、この「蒸し」工程を入れることで色鮮やかな緑色に仕上がります。この製法で作られたのが「煎茶」です。

 Café&Meal MUJIの日本茶は「煎茶」と「玉露(ぎょくろ)」をブレンドしたものですが、「煎茶」と違い「玉露」は覆い下茶園で作られます。茶畑の上をよしずや黒いネットのようなもので覆っているのを見たことがあると思いますが、これは日光を遮ることによって渋みのもとであるカテキンを減少させ、旨味成分のテアニンを増加させるために、意図的に光合成をとめているのです。20日間以上被せたものを「玉露」、20日未満のものは「かぶせ茶」と呼びます。この製法によって「玉露」のとろっとした甘みができあがります。

玉露入り宇治煎茶

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 特に香りが良いといわれる宇治のお茶。玉露は50℃ほどのぬるめのお湯で、煎茶は70~85℃の少し冷ましたお湯が適温のため、お店では、ご注文を受けるとポット(またはカップ)にお湯を入れ、ティーバッグは添えてお渡ししています。その場ですぐにお湯を入れてしまうと、熱すぎて渋味成分のカテキンや苦味成分のカフェインが多く抽出されてしまうので、本来のお茶の旨味を味わっていただきたいと、あえてお湯とティーバッグを別にしてお出ししています。
 煎茶の爽やかな香りと渋み、玉露の甘みをお好みでお楽しみください。

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