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タイ ドイトゥンコーヒー

2014.9.30

 9月中旬よりCafé&Meal MUJI南青山のブレンドコーヒーが新しくなり、さらに美味しくなりました。新しくタイのドイトゥンとグアテマラのサン・ミゲルの二種類をブレンドしています。

ドイトゥンコーヒー

 7月下旬にタイ最北端のチェンライへ、ドイトゥンコーヒーの栽培指導に同行させてもらい、産地の見学へ行ってきました。ドイトゥンは「ゴールデン・トライアングル」と呼ばれる、タイ・ミャンマー・ラオスの国境をまたいで位置する山岳地帯の地域です。ここに暮らす少数民族の生活は厳しく、貧困のため高く売れるアヘン栽培に頼るしかない環境でした。

 この貧困問題の解決と麻薬撲滅のためにタイ王室の財団が中心となり、1988年に「ドイトゥン開発プロジェクト」が発足。現地の人々の雇用を進め、アヘンに代わりコーヒーやマカデミアナッツなどの栽培を推進し多くの農業従事者へ支援を行い、生活水準の向上と安定を図ってきました。コーヒー豆の栽培もそのような背景からスタートし、収入の確保と安定した暮らしにより現在では品質の良いコーヒー豆ができるようになりました。

 ドイトゥン開発プロジェクトは現在第三期に入り、新たな技術や産業を通して高品質なドイトゥンブランドとしてアラビカ種コーヒー、マカデミアナッツ、織物や布地、サー紙(タイの和紙)、彫刻作品、陶器などが作られています。工芸品の工場は25年前に始動しましたが、当時は機械がなく廃材を使って機械を作り、作業されていたそうです。

コーヒー栽培

 財団の方々が4月に植えた苗が大きく成長していました。私たちはこの苗を種床から苗床へ移し替えをするための苗床作りと移し替えの作業を手伝わせていただきました。

 苗床は土、砂、牛糞、もみ殻を混ぜ合わせたものを、穴の開いたビニールポットに満杯になるまで詰めていきます。ビニールポットに土を詰める作業に使ったのが、竹で作られたスコップやペットボトルを斜めにカットしたものです。新しい道具を入れても使えなくなってしまうと作業ができなくなってしまうので、現地の生活の中にあるものを活用することが大切なのです。そのため、苗床ひとつひとつに入れる肥料も、瓶のキャップを使って計量せずに済むようにと考えられています。

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 苗床ができたら、苗を一本ずつ植えていきます。まず先を尖らせた棒で苗の根が植わる深さまで穴をあけ、キャップ半分の肥料を入れます。土を少しかぶせて根が直接肥料に触れないようにします。次にさきほどあけた穴に苗をまっすぐ入れ、苗のところに空洞ができないよう土をかぶせ、最後に表面の土をならします。肥料にはチッソ・リン酸が入っています。植物を育てるために必要な栄養素は「チッソ・リン酸・カリ(カリウム)」ですが、チッソは葉を、リン酸は根を、カリウムは実を成長させます。まだ苗床の育成段階のため、今回の肥料にはカリウムは入っていなくても大丈夫だそうです。

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 コーヒーの木は苗床でしばらく育て、育成の良いものだけを畑に植え替えます。植え替えて3年ほどすると一年に一度、真っ白な花を咲かせます。乾季が終わったあとの雨が開花の合図で、ジャスミンに似た香りの花を咲かせますが、命は短く3日ほどでしおれた後、一週間ほどで花は落ち、その後に小さな実が残ります。はじめは小さく青かった実は熟成とともに大きくなり、半年ほどかけて赤く色づきます。生産国によって収穫期は違いますが、タイでは11月から2月にかけて収穫をするそうです。

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 今回の訪問は収穫の時期ではなかったため、色づく前の緑の実しか見ることができませんでしたが、今度は収穫時期に現地を訪れ、真っ赤に熟した実を見るのが楽しみです。

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