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タイ ドイトゥンコーヒー~収穫~

2015.2.23

 昨年7月に訪問したタイのドイトゥンコーヒー産地へ、今回は念願の収穫を体験しに行ってきました。

前回のコラム「 タイ ドイトゥンコーヒー

畑を作る

 収穫の前に、今年の5月から植えつけが始まるミャンマーとの国境に近い標高1400mにある畑の様子を見に行きました。ドイトゥンプロジェクトによってコーヒーの栽培が奨励されたものの、レイアウトは関係なく斜面に植えられていた木を、コーヒーハンター川島さん(株式会社ミカフェート代表取締役社長)の指導により等高線に沿って植えて、土砂崩れや土壌流出を起こさないようにする、「人のためではなくコーヒーのための畑」が作られていました。

 川島さんが指導される前に作られた畑を見に行くと、素人目で見ても違いは一目瞭然。山の斜面に盛り土がされており、人が動きやすいよう畝が作られていました。これでは木の根が山肌ではなく上から盛られた土にしか張っていないので、大雨のときの土砂崩れの原因になってしまいます。

 畑を作る際には、まず最初にサービスロードと呼ばれる山の斜面を上り下りするための中心になる階段が作られます。この階段を作る際にも雨季の大雨を想定し、水が階段を一気に流れて川になってしまわないよう、階段の横に穴を掘りオーバーフローの役目をさせます。

 その後、サービスロードから横へ水準器を使って同じ等高線上に木を植える場所を決めていきます。この「同じ等高線上」を見つける作業のために作られた道具が、川島さん考案の水準器をつけた手作りの「Aフレーム」です。Aフレームを使って同じ等高線上に、等間隔に木を植える目印をつけていきます。

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 まずAフレームの片方の足を始点に置きます。そこからもう片方の足を水準器が「0」になる箇所を探しながら横へ移動させます。ちょうどフレームを手で持つあたりに定規と水準器がセットされています。この定規幅が足の幅=樹間の長さとなっています。人の目で見て動きやすい場所や同じ斜面のあたりかと思って足を動かしても水準器は「0」にならず、同じ等高線上を探すと意外な方向になることも。

 同じ等高線の場所がわかったら、その場所に目印の杭を打ちます。この杭を打った場所に、雨季になったら苗木を植えていきます。

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 今回は収穫と同時にコーヒーの花が咲いているのを見ることもできました。ジャスミンやレモンのようなさわやかな香りがする花は、咲くと3日ほどで枯れてしまい、その後果実が完熟になるまでに約半年かかります。寒暖の差があるところで育った果実は、時間をかけてゆっくりと熟していくため美味しさがぎゅっと詰まっているのです。

収穫

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 待ちに待った収穫は、松林の中の畑で行いました。収穫用のかごを首からぶらさげ、松葉で足をすべらせながら赤い実を目指して急斜面を上へ上へと登ります。事前に教えていただいたように、完熟のものを選びながら花芽をとらないよう、茎をとってしまわないよう黙々と収穫作業に励みましたが、「この実はもう収穫しても良いのか」と迷いながらでは制限時間の20分間があっという間に過ぎてしまいました。

 収穫した実の中を一度水に浮かべます。ここで浮いた実は過熟だったり虫食いがひどかったりするものなので、取り除きます。沈んだ実を取り出して、今度は完熟ではないものを取り除いていきます。完熟だと思って収穫したものでも、まだ先のほうが黄色がかっていたり白っぽかったりするものがないか厳しくチェック。今回の収穫の成果はたった180gでした。果実6.5kgからできるコーヒー豆は1kgのため、これではコーヒー一杯分にしかなりません。完熟の果実だけを収穫するのはかなりの労力を要しますが、その時間をかけた分だけ美味しいコーヒーができあがります。

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 コーヒーの果実は「コーヒーチェリー」と言われていますが、完熟のものはまさにチェリー。真っ赤な実からはほんのり甘みのある果汁が!(コーヒーの果実にはほとんど果肉がないため、果汁はほんの少しです。)この完熟の果実が持っている甘みが美味しいコーヒーの基となります。コーヒーも野菜や果物と同じ農産物。素材のおいしさがコーヒーの美味しさを決めるのです。

MUJIブレンド

 Café&Meal MUJIでは、3月中旬より全店でこのタイのコーヒーとグアテマラ、コロンビアのコーヒーをブレンドしたものに切り替わります。コーヒー本来の甘さと口当たりの良い酸味を味わっていただけるストレートで飲むのがおすすめ。豊かな香りとすっきりとした後味もお楽しみいただけます。

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