Blog

美味しいジャージー牛乳のはなし

2012.1.27

昨年6月にオープンしたCafé & Meal MUJI 南青山、9月にリニューアルオープンしたMeal MUJI 有楽町とCafé & Meal MUJI 青葉台東急スクエアの3店舗で販売をしている「森林ノ牧場の牛乳と本和香糖のソフトクリーム」。
※Meal
MUJI有楽町とCafé & Meal MUJI 青葉台東急スクエアでは、商品名を「Café MUJIのソフトクリーム」として販売しております。

「長い名前だなぁ」と思われた方も多いのでは?
これは、あえて素材の名前を出すことで「森林ノ牧場の牛乳ってどんな牛乳なの?」「本和香糖ってお砂糖の名前?」等々、原料にも興味を持っていただきたいとの思いからこのような長い名前になりました。

森に牛を放牧して牛と人で森を管理して森を再生したい

“森林ノ牧場”、みなさんはこの言葉からどんな牧場を想像されますか?
初めて私たちが牧場を訪れたのは一年半前のこと。東北新幹線の新白河駅から車で20分ほどの高原地帯に森林ノ牧場がありました。
日本の約70%を占める森林ですが、海外からの輸入材のほうが安く手に入るため国内の林業が衰退、下草刈り等の手入れができずに放置された結果、活用出来なくなってしまった森が多いのです。また、牛を飼育するために必要な飼料も海外からの輸入が中心。
森を再生するにも、木は30~40年と時間をかけて成長するためその間の収入が見込めず、労力やコストが見合わないため事業として成立しづらいのです。労力のかかる下草刈りを牛にまかせて、その牛から得られる乳製品で短期的に継続的な収入を確保できないか?
そんな思いから始まったのが森林ノ牧場です。

cafe_clumn_img_120127_01.jpgcafe_clumn_img_120127_02.jpg

実際に牧場(というよりは森の中)へ入ると、木々の間に点々と牛の姿が見えました。広大な森の中でのんびり、好きなところを歩きまわっています。間伐も適度にされているのでほどよく日光が入り、木も牛ものびのびしているように感じました。完全放牧なので、牛たちは日中だけでなく寝るのも森の中ですが、搾乳の時間になるとちゃんと搾乳場所まで戻ってきます。寒い冬も、暑い夏も同じように外で寝ます。
この森林ノ牧場で飼育されているのはジャージー牛。元々、気候の変化や粗食に耐えうる種類ということもありますが、木々の間の下草を食べるには体の小さいジャージー牛が適しているそう。(牛は本来草食動物ですが、ホルスタインはたくさん乳が出るようにと改良が進み草だけでは体の維持ができなくなったんだそうです。)さらにジャージー牛は高品質な乳と可愛らしい容姿が特徴です。

cafe_clumn_img_120127_03.jpg

つぶらな瞳がまるでバンビのよう!

Café & Meal MUJI オリジナルのソフトクリーム

このジャージー牛乳で作られたソフトクリームがとても美味しかったので、Café & Meal MUJI のオリジナルで作ってもらえないかと、お砂糖
を本和香糖に変えて作ってもらうことにしました。できあがった「森林ノ牧場の牛乳と本和香糖のソフトクリーム」は、牛乳の濃厚な味わいを残しつつも、さっ
ぱりした味に仕上がりました。ジャージー牛乳は乳脂肪、たんぱく質などの成分が豊富で濃厚感がありますが、ここでは68℃30分という低温殺菌処理をして
いるためさらっとした後味なのです。さらに後味がべたつかないのは、余分なものが一切入っていないから。食べたあとにお水を飲んで口の中をリセットする必
要がありません。
また、グラニュー糖よりも糖度が低い本和香糖を使うことで、甘みをおさえられコクのある味に仕上がっています。

cafe_event_120113.jpg

原発事故の影響

このソフトクリームを販売しようと話をすすめていた矢先に起こった東日本大震災。福島原発の事故は森林ノ牧場にも被害をもたらしました。森での放牧ができなくなり、牛舎がない森林ノ牧場では牛の飼育を続けることが困難となったのです。幸い近隣の酪農家さんのところで預かってくれることになりましたが、福島近郊の牧草には放射性物質が含まれるため食べさせることができません。不本意ながら輸入飼料に頼ることになりましたが、牛を殺処分せずに済んだことが救いでした。
※牛は近隣農家へ移動させており、現在出荷している乳製品からは放射性物質は検出されておりません。

cafe_clumn_img_120127_04.jpg

きれいに間伐された森の中

一時は廃業も考えた森林ノ牧場代表の山川さんですが、現在、放牧再開のために除染作業、森の整備を進めています。
放射性物質がたまりやすい落ち葉は、森のいたるところに積もっています。広大な敷地なのですぐに作業が終わるわけではありません。牛が過ごしやすい場所から優先的に除染作業にかかりました。

cafe_clumn_img_120127_05.jpg

山川さんのあとをついて歩く子牛

このお正月に、久しぶりに訪れた森林ノ牧場。いま森で過ごしているのは、まだ乳が出ない生後10ヶ月前後の子牛のみ。人と接することが多いので人懐こく、近くによると可愛らしい瞳で見つめてくれます。
山川さんのあとをついて歩き「遊んで」とせがむことも。
元通りの放牧が出来るようになるまであとどのくらいの時間が必要なのかはわかりませんが、以前のように森の中でのびのびと暮らす牛の姿を一日でも早く見たいと、牛の姿が少ない牧場で強く思いました。

美味しいジャージー牛乳の話と、森林ノ牧場の乳製品販売会

いま私たちCafé & Meal MUJI で出来ることは、森林ノ牧場の乳製品のおいしさをたくさんの人に知ってもらうこと。ソフトクリームを販売しているお店はまだたった3店ですが、今回はその3店のうちの一つであるCafé & Meal MUJI 南青山で森林ノ牧場の乳製品販売会を行いました。
前日に雪がふった寒い日でしたが、Café & Meal MUJI まで足を運んでくださった皆様、ありがとうございました。次回はMeal MUJI 有楽町やCafé & Meal MUJI 青葉台東急スクエアでも販売会を行いたいと考えています。お近くにお越しの際はぜひお店に遊びに来てください。

cafe_clumn_img_120127_06.jpg

cafe_clumn_img_120127_07.jpg

森林ノ牧場代表の山川将弘さん

Topics: Column
一覧に戻る