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美味しい理由(わけ) 「高知県産生姜」~収穫~

2012.11.22

 東京でも木枯らし1号が吹き、コートが必要な寒さになってきました。いまの季節、Café&Meal MUJIでは高知県産の「黄金(こがね)生姜」と本和香糖で作ったシロップをお湯で割った「ホットジンジャー」が人気です。

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 11月初旬、収穫最盛期の生姜の畑へ行って来ました。植え付けを見に行った4月から7ヶ月、畑が葉で埋めつくされています。パッと見た感じは笹の葉のよう。葉の色が抜けて枯れかけていますが、これが収穫の合図です。

 今回訪れた畑の土壌は粘土質の黒土のため、雨が降ると足場が柔らかくなり、踏み入れると土壌が荒れるので、土壌が乾燥している状態でないと作業ができません。また生姜は非常に病気に弱い植物のため、近くに川や用水路があっても必ず井戸を掘って地下水を散水しています。土に病美を持ち込まないよう、畑に入る際は専用の作業靴、もしくは靴カバーをしてからでないと畑には入れません。

生姜畑へ

 すでに収穫作業をされている畑に近づいていくと、生姜の爽やかな香りがほんのり周辺に漂っています。畑では20名ほどの方が掘り起こした生姜の茎を切って、かごに詰める作業をされていました。生姜は熱帯性の植物で寒さに弱いため、畑に霜が降りるまでに収穫をしなければならないのですが、雨が降っている日や、雨が降った翌日は土壌が荒れるため収穫作業ができなかったり、「春と秋がない」と云われる高知の気候は、前日まで暖かかったのに翌日急に寒くなったりと、天候との勝負。一年に一回の収穫で翌年一年間(正確には14ヶ月)分をまかなわなければならないため、収穫時期の見極めや収穫作業をしてくださる方たちの確保も必要なんだそうです。

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収穫作業

 乾燥した粘土質の土にしっかり張った根っこが食い込んでいるので、生姜を手で引き抜こうと思うと相当な力が必要です。そのため、葉の部分をカットしつつ、鋤(すき)状の刃を土中に差し込んで下から掘り起こしていく機械を使っています。試しに私たちも手で引き抜いてみましたが、しっかり力を入れないと茎だけが抜けてしまいました。

 通常私たちが目にするのは100gのパックに入った生姜なので、あまり想像がつかないかもしれませんが生姜は親芋から左右均等に子芋が伸びて成長していきます。そうやって大きくなった生姜は、収穫時には5kgくらいの大きさになっています。それを出荷前にカットして、家庭で使いやすい100gのパック入りの生姜となるのです。じゃが芋のように地面の下でころころとできているのかと思っていましたが、相当大きな塊でびっくりしました。

保管

 掘り起こした生姜は茎を切ってかごに詰められたら倉庫へ運ばれます。倉庫の温度は13~14度に設定され、産地・生産者・収穫日ごとにデータ化したシールを貼り付けトレースが可能なように管理されていました。一年に一回しか収穫できない生姜を安定供給するために、この倉庫に14ヶ月分の生姜を保管しています。14ヶ月=1年と2ヶ月。この2ヶ月というのは寝かし期間のこと。収穫したては白っぽく、生姜についていた茎の残り部分もピンクです。それが時間がたつにつれ茎の残り部分が溶け落ち、全体も徐々に飴色にかわっていきます。この状態になるまでに約2ヶ月。この状態を「囲い生姜」(または「ひね生姜」)と言い、生鮮品や原材料として流通します。

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 普段の出番はそれほど多くないかもしれませんが、手間ひまかけて作られた生姜。家庭では100gでもなかなか使いきれず、「冷蔵庫に入れておいたらしなびてしまった」という方も多いと思います。丸ごと保管する場合は、冷蔵庫には入れず、できれば新聞で包んで冷暗所においておくほうが長持ちするそうです。

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