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いのちをいただく 「鹿児島県産茶美豚」

2012.12.20

 写真は1月のデリに登場する「江戸菜と茶美豚の四川風煮」です。メニュー名の中に出てくる”茶美豚”とは、Cafe & Meal MUJIで使っている豚肉の名前。「そういえば、お店で見かけたことのある名前だけど、読み方がわからない」という方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。「ちゃびぶた」と読んでしまいそうですが、実は「ちゃーみーとん」と読みます。鹿児島は全国2位のお茶の産地。茶美豚はこのお茶の成分(カテキン)と、鹿児島の名産であるサツマイモの入った飼料を与えて育ちます。このことから”茶美豚”と名付けられたそう。飼料に含まれるカテキンやサツマイモのおかげで豚が健康に育つとともに豚肉に臭みやクセがなく、甘い旨味をもつ茶美豚は特に野菜との相性が良いのが特徴です。

 そんな茶美豚が育てられている農場~食肉加工場までを見学に、鹿児島へ行って来ました。

子豚から成豚まで

 鹿児島市内からフェリーと車で約3時間。まず初めに向かったのは子豚供給センターです。センターの中に入ると、まずは全身シャワーを浴びて着替えます。(髪の毛も洗い、下着、靴下もきれいなものに着替えます。)こうしないと事務所にも入れない仕組みになっており、またセンター内に持ち込む必要があるものは全て殺菌庫を通してからでないと持ち込めません。これは外部や人間の病気を豚にうつさないようにするためです。

 センターの中にはまだ哺乳が必要な子豚と母豚がいる「分娩舎」と、離乳後の子豚が飼育される「子豚舎」がありました。先に「分娩舎」へ見に行きます。

 「分娩舎」の中では親子ごとに囲いの中で過ごしています。豚は多産のため、11匹くらいの子豚がお母さんのまわりを走り回ったり、お乳を飲んだり、寝ていたりしました。「キーキー」と甲高い声で鳴いて、赤ちゃん肌のかわいい子豚たち。お母さんと一緒に過ごせるのは3週間ほどです。

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 やがて離乳する頃になると、「子豚舎」へうつされます。人間でいうと幼稚園~小学校のようなところで、親から離れて体重別、性別にクラスを分けられます。この「子豚舎」も、「分娩舎」と同じセンターの敷地内にあるのですが、ここで最初に来たときと同じようにまた全身シャワーを浴びて着替えます。(同じように、また髪の毛も洗い、下着と靴下もきれいなものに着替え、もちろん上着も洗濯をしたきれいなものに着替えます。)これは私たちが部外者だからではなく、働いている方も同じこと。万が一どちらかの豚舎で病気があった場合にもう片方の豚舎へうつさないようにするため、豚舎ごとにシャワーと着替えが必要なのです。

 「子豚舎」で約8週間を過ごした後、肥育農場へと移されます。移されたばかりの頃は35kgと小さい豚も、この農場で約3ヶ月半を過ごす間に115kgまで大きくなります。この頃には声変わりもして「ブゥブゥ」と豚らしい鳴き声になっていました。美味しい豚の見分け方を聞くと、「ピンク色の肌をした豚がおいしい」との答え。そう聞くとそこにいる豚たちみんなが美味しそうに見えてきました。

食肉加工場

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 農場へ行ったあと、いよいよ食肉加工場へと向かいます。先ほどまでセンターや農場で見ていた豚たちが、普段見慣れているパック詰めのお肉になるところまでを見せていただきます。

 前日に運び込まれた豚たちが工場の敷地の一角に集められていました。農場で「ピンク色の肌をしているほうがおいしい」と聞いていましたが、確かにここに運び込まれていた豚たちは、肥育途中の豚たちのような薄いピンク色ではなく、きれいな桜色をしていて格段に美味しそう。

 屠殺されるところは見られませんでしたが、そのあとの頭をとって皮を剥ぐところからそれぞれの部位ごとに加工~パック詰め~箱詰めされるところまでを見せていただきました。印象的だったのは、最初の解体のところで、皮も肉も傷つけないよう丁寧に仕事をされている姿でした。ついさきほどまで見ていた豚が解体されていくのを見るのは、残酷なように思えるかもしれませんが、私たちが「美味しい」と言って食べている肉は、たくさんの方が愛情をこめて育て、食肉として加工されたもの。このようにたくさんの工程を経て私たちの元へ届けられるのです。

 これまで一度も解体の現場を見たことがなかったので、もっとびっくりするかと想像していたのですが、それよりも「こんな風に解体されていくのか」という感慨みたいなもののほうが強かったです。(どちらかというと「美味しそう」という思いのほうが強かったかもしれませんが・・・)「いのちをいただく」ということを実感した一日となりました。

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