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春の味覚「たけのこ」

2013.4.26

 Café&Meal MUJIの春のメニュー「春野菜の若竹煮」「エビと春野菜のグラタン」「たけのこと菜花のキッシュ」で使っている高知県産の”輪切りたけのこ”。メニューに”たけのこ”と入っているのに、見慣れたたけのこの形が見当たらず不思議に思っていらっしゃった方も多いのではないでしょうか。これらのメニューに入っているたけのこは、旬を過ぎて収穫が間に合わなかったたけのこの節(ふし)部分を加工したもの。どうしてそのようなたけのこができるのか、そもそもたけのこはどんな風にできているのか、その理由(わけ)を訪ねて高知県高知市へ行ってきました。

 本来土の中から芽が出てるかどうかくらいの頃に掘り出すたけのこですが、旬の時期になると一斉に収穫をしなければなりません。たけのこはとても成長の早い植物のため、生産量が多くなると掘り切れなかったたけのこもたくさん出てきます。親竹として成長させるものもありますが、掘り遅れたたけのこは高さ3メートルくらいになってもまだ柔らかいので、切り倒して先の柔らかい部分を水煮等に加工します。節(ふし)のある下の部分は、先のほうに比べると硬くて食べづらいため、食べやすい厚さ、大きさに切って加工したものが、今回使っている”輪切りたけのこ”。そのまま捨ててしまうのはもったいない、という気持ちから生まれた食材です。

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繊維の密度が違うので、節(ふし)の上は柔らかいが下は硬いため、食べられるのは節と節の間の一部だけです。

竹林へ

 竹林というと、畑で収穫できる野菜と違ってあまり手入れをしなくても良さそうな気がしていましたが、やはり手入れをするのとしないのとではたけのこの味も格段に違います。ご高齢であとを継ぐ方がいらっしゃらない農家さんも増えて、現在では7割ほどの方が手入れをされていないそうですが、手入れされているかされていないか、素人目に見ても一目瞭然でした。まず竹林に入る光の量が全然違います。

 今回案内していただいた高知パック株式会社の宮田さんの竹林では、古い竹を切って今年の親竹を残したり、肥料をやったり、また親竹も選別して大きいものだけを残したり、と手入れをされているため、陽の光が入り竹林の中がとても明るかったのが印象的でした。たけのこを収穫してしまったあとも「お礼肥(ごえ)」と言って、すぐに肥料をやり親竹のダメージを修復し、地下で小さいたけのこが出来始める8月までに竹林の手入れを済ませるそうです。

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 竹林の中に入ると、旬の時期を過ぎているため大きく伸びたたけのこが目に入ります。旬の時期は地面がわずかに盛り上がっているかいないかくらいのときに掘って収穫するため、ベテランの方でないと見つけることができません。”輪切りたけのこ”用のたけのこは、すらっと大きく伸びているのにまだ皮がついているので、私たちにも簡単にすぐ見つけられます。6メートルくらいの太くて大きなたけのこは親竹として来年のために残しておくのですが、けっこうな高さになってもまだ皮がついています。徐々に下のほうから皮がむけて、立派な親竹になっていきます。

 ところで竹にも「オス」「メス」があるのをご存知ですか?見分け方は、下から見上げたときに最初にある枝が一本ならば「オス」、二本ならば「メス」です。「オス」「メス」をバランスよく残すようにしているのですが、人同様「メス」のほうが寿命が長く、どうしても「メス」のほうが多くなりやすいのだとか。(たけのこは「オス」「メス」に関係なく出来ます。)

 10月になって休眠状態に入るまで活動している竹は、中を水が通っている(吸い上げている)ためさわるとひんやりします。竹が保冷材のようになり、夏の暑いときに竹林に行くと、冷蔵庫のようにひんやり涼しいそうです。今年の夏も暑くなりそうなので、竹林に涼みに行ってみたくなりました。

 食感の良い”輪切りたけのこ”。春の味覚「たけのこ」の新しい形です。

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