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りんごの産地を訪ねました~春~

2015.5.29

 昨年の夏、日本各地で雹(ひょう)が降り、その雹により農産物に大きな被害が出ました。中でもりんごの被害は大きく、生のままでは出荷ができないりんごが収穫量の半分以上になってしまいました。その話を聞き、一度産地へ行ってみようと2月に青森県弘前市の農家さんを訪ね、雪に覆われたりんご畑を見せていただきました。

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左:2月の畑、右:5月の畑

 それから3か月、今回はりんごの花を見に弘前を再訪しました。一面雪景色だった冬と違い、ちょうど連休の桜まつりが終わった直後で新緑がまぶしい津軽の春を感じることができました。

栽培方法

 りんごは台木があり、接ぎ木をして育てます。また自家受粉ができません(=違う種類のりんごの花粉が必要です)。台木には2種類あり、普通台木(マルバカイドウ=マルバと呼ばれる)と矮(わい)性台木(わい化)があります。台木によって木の成長の仕方がかわります。わい化は普通台木に比べると樹高が低いのが特長です。わい化の畑の木は、普通台木と違い幹があまり太くなく3年目の木はひょろひょろ、20年目の木でも細いと感じました。

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 通常木々は上へ上へ大きく伸びていくのがふつうですが、収穫がしやすいように、また枝をのばさずコンパクトにしていくことで枝の養分を根に戻すことで細く育てて木々を長くもたせているそうです。そうすることで果実に養分がいくようにしています。

 反対に普通台木(マルバ)で接いだ木は、幹がずっしり太く枝が横に広がっていました。雪が多いところは下のほうの枝を伸ばせないので、普通台木とわい化、どちらの方法が良いかは畑によっても違います。

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 また下の台木に接ぐ方法ではなく途中の枝に接ぐ「高接ぎ(たかつぎ)」という方法がとられることもあります。
元の品種から早く品種をかえたい場合にはこの「高接ぎ」を行うそうです。またすべての枝は毒を持っているので接いだ際に毒が入り木全体が死んでしまうリスクがあるため、切り口や接ぎ口が乾燥しないようにテープを巻いたり薬を塗ったりして病気(腐乱病)にならないようにします。

りんごの花

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 りんごの花は5個セットで咲きます。花が密集しているところを「頂芽(ちょうが)」と言います。「ふじ」の場合は4頂芽に1果といわれており、一番大きくなりそうな場所の真ん中の花だけを残します。今年は急に暖かくなって一斉に開花したのでおしべが残っているものが多かったのですが、本来は真ん中のひとつを残したら、残りの4つは開花する前に花粉採取用としてつみとります。こうやって収量をおさえないと翌年の収量に影響するのだそうです。

雹害りんご

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 現地で食べさせてもらったりんごは果汁たっぷり。雹害を受けたりんごでしたが果皮に受けた傷以外は通常のものとかわらず、かえって甘さが増しているようでした。雹害や風害等の被害に合わないのが農家の方々にとっては一番良いことですが、今年も同じようなことが起こるかもしれません。被害があってもなくてもりんごの美味しさを伝えたいと、産地の方々にもご協力していただきながら新しいメニューを考えています。お店に並ぶ日をどうぞお楽しみに!

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