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小田原みかん

2015.10.30

手軽に食べられる冬の果物といえば「みかん」。国内では和歌山、愛媛、静岡が産地として有名ですが、実は都心から近い神奈川県も全国で10位を誇る産地です。不定期で開催しているCafé&Meal MUJI横浜ベイクォーターのイベント「ハッピーファーム」第三回目は、小田原で300年以上の歴史があるみかん農家の秋澤史隆さんにお越しいただき、知っているようで知らない「みかん」について教えていただきました。イベントでは黄色く熟したみかんと、間引きした青みかん、秋澤さんのみかんを使ってアレンジしたデリとデザートを参加者の方に召し上がっていただきましたが、通常はそのまま食べることが多いみかんをどうやってアレンジしたら良いのか、実際に秋澤さんのみかん畑を見せてもらいヒントをもらおうと小田原へ行ってきました。

樹齢300年のミカンの木が現存している「あきさわ園」は、海から3kmほど離れた中山間地にあります。温暖な気候と海からの風がみかん栽培に適している敷地では、みかん以外にキウイ、柿、ブルーベリー、米、落花生、たけのこ、野菜も作っていらっしゃいます。

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トラックに乗せていただき山道を行くと、収穫時期にはまだ少し早かったため一面緑のみかん畑が広がっていました。ここには収穫したみかんを追熟させるために保管する蔵もあります。収穫した直後のみかんは酸味がきついので、ワインと同じように熟成させます。こうすることで酸味をおさえて甘さを引き出し美味しいみかんになるのだそう。蔵は空気が通りやすい斜面に建てられており、暑い夏も蔵の中は薄暗くてひんやり。蔵の両側にはぎっしりと木箱が並べられています。この木箱の中にみかんを並べて追熟させるのです。

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青みかん

作物は見た目が悪かったり小さかったりする果実は間引きをし、残した果実をなるべく大きく美味しくなるよう育てていきます。みかんも例外ではありません。秋澤さんの畑では約2トンの果実が間引きされているそう。さらに枝や葉にも日光があたるよう剪定作業を行いますが、それでもすべての果実が黄色く甘い商品になるわけではありません。間引いたもの、出荷できなかったものもすべて果実。そんな思いから「青みかん」も無駄なく使おうと、秋澤さんはお茶にしたり精油を作ったりと工夫されています。皮だけ見るととても酸っぱそうな「青みかん」ですが、カットすると果肉はとてもきれいなみかん色!実際食べてみても甘くて程よい酸味がありました。皮も一緒に食べると独特の苦味も加わり、みかんの香りが口の中に広がります。

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また皮は乾燥させてお茶に。乾燥させたみかんの皮は「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれ、老廃物を排出し血のめぐりをよくする漢方薬としても使われますが、生のみかんの皮よりも香りが深く味も良いそうです。お湯のみにお茶を注いだ途端、みかんの香りが部屋中に充満しました。

現在は糖度の高いみかんが好まれているため市場に届くまでに傷んでしまうものが多く、出荷後に廃棄されてしまうものも多いそう。本来のみかんは酸味とほろ苦さも持っているのですが、糖度が重視されてしまう最近の傾向には少しもどかしい思いもされています。「みかんが持っている味をすべて使うことで味に深みがでると思っています。」と秋澤さん。たくさんのお話を聞いて、素材を無駄なく使うことをあらためて教えていただきました。

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