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おにぎり

2017.1.23

 2016年11月にオープンしたあべのハルカスを中心に、Café&Meal MUJI数店舗にて「おにぎり」を販売しています。おにぎりの基本となるお米は全店で使っている兵庫県産蛇紋岩米、海苔はセントレア空港に近い愛知県常滑市の鬼崎漁協でとれた海苔を原料に加工していただいたものを使っています。

愛知県産海苔

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 これまでなかなか使うことがなかった「海苔」ですが、おにぎりに使うようになり初めて海苔の漁場を訪れることができました。海苔といえば有明(佐賀県)や大森(東京)のイメージが強いですが、基本的には河川が流れ込む太平洋側の湾や瀬戸内海で育ちます。産地が太平洋側にかたよっているのは、日本海側は潮流が速いため栽培が難しいからだそうです。

 Café&Meal MUJIで使っている海苔は愛知県産。愛知県、三重県に位置する三河湾、伊勢湾は日本アルプスを源流とする大きい河川が流れ込んでいるため、湾内にミネラルを多く含み、やわらかくて香りの良い海苔がとれます。おいしい海苔は「やわらかさ」「甘さ」「香り」が揃ったもので、特に初摘みの海苔ややわらかく、海苔を持ったら吸いつくようにフッと指に海苔がつくようなものが良いそうです。やわらかく食味の良い海苔を作るためには、海苔の繊維が短い状態でとったほうが良い(=新芽の状態でとるイメージ)のですが、短い状態で摘むのが難しいため少し長くしてから収穫するところも多いそうです。長くなってから摘むと、成長した分だけ繊維がかたくなり品質が劣る原因となるため、鬼崎漁協ではなるべく短いときに摘み取り、量は少ないながらも品質の高い海苔を出荷されています。

塩引き鮭

 「塩引き鮭」は新潟県の一番北にある村上地方に古くから伝わる伝統的な加工製法です。「新潟県村上」と検索ページで入力すると「塩引き鮭」と出てくるほどで、毎年12月上旬から下旬にかけて村上市内では、軒先に塩引き鮭が吊るされている風景を見ることができます。

 このあたりの「塩引き鮭」には大きな特長があります。鮭の内臓を取り出す際に「止め腹」と言って、おしりのほうからおなかを割くときに一気には割かず、中ビレのところを一か所残します。また必ず尾から吊り下げます。これは、村上が城下町であったことから、「切腹」「首つり」を連想することを嫌ったためと言われています。(最近では乾燥が早いということで全開することもあるそうです。)よく知られている関西と関東のうなぎのさばき方の違いと同じように、その土地ならではの文化を「食」を通じて知ることができます。

 Café&Meal MUJIでお世話になっている岩船漁協の加工場へ行くと、「塩引き鮭」がずらっとぶらさげられていました。鮭には、とれた時の重量がかかれています。5㎏前後のものが多い中、8kg近い大きな鮭もありました。ずらっと並んだ鮭たちの顔つきには迫力がありますが、それでも「最近の鮭は顔つきが丸くなってきた」そう。鮭の皮の色も少しずつ違います。鮭は産卵の時期が近づくと生まれた川へ戻ってきますが、海から淡水域に近づくに従って「婚姻色」とよばれる、木肌のような「ブナケ」という模様が出てくるため、見た目にも真っ黒になります。(川でとれる鮭は味もたんぱくで身の色も白っぽくなります。)海の鮭もとれる場所によって皮の色が違うようで、岩船でとれるものは赤くまだらになっていますが、北海道でとれたものは銀色だそう。また川でとれる鮭とは違い、海の鮭は身に脂がのっていてサーモンピンクの色が特長です。

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高知県産山塩

 「口の中に小さな海を届けたい」この想いで高知県四万十町の山で塩を作られている方がいます。海水の水分を蒸発させてつくる塩を、なぜ海から20kmも離れた山里で?と思いながら実際に作業をされている場所へ行ってきました。

 まずくみあげた海水は、山の中にあるビニルハウスまで運びます。海水を単純にそのまま蒸発させれば塩ができそうですが、それだけでは良い塩はできません。海水をくみあげるところから循環と気化を繰り返し、塩分濃度を濃くしていきます。この濃くした海水を時間をかけてじっくり塩にしあげていきます。作業するビニルハウスの中の温度は50℃ほどあり、ハウスの上部はさらに暑くなります。(サウナのよう!)並んだビニルハウスの中にはずらっと150枚ほどの箱が2~3段にわけて置かれており、毎日塩を混ぜて結晶を作っていきます。(私たちも作業をさせていただきましたが、お昼近くなると徐々にハウスの中の気温があがり汗だくに・・・。体力と忍耐力が必要だと感じました。)

 山の中で塩を作る理由を聞いたところ、海沿いに比べて晴れの日が少ない分ゆっくり作ることができるので、旨味の強い塩が生まれるとのこと。季節によって日差しの強さが違うので、夏は3週間、冬は3か月かかります。一定の味で効率よく作るのではなく、自然を相手に作れる分だけ。山で育った海の味です。

 限定店舗での発売ですが、ひとつひとつの食材にこだわった「おにぎり」をぜひ味わってみてください。

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