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“地方の食から学ぶ” 沖縄

2018.8.2

 沖縄の伝統的な食文化は、琉球王朝時代に中国より料理とともに伝わった「医食同源」の思想の影響で、食べることで滋養強壮(ぬちぐすい=命の薬)になる、という考え方を持っています。現在の沖縄料理は、王朝時代の宮廷料理と、薩摩(現在の鹿児島)の役人接待のために学んだ日本料理、また「ツジ」と呼ばれた沖縄の郭所で生まれた料理、戦後に影響を受けたアメリカの料理が基本となっており、多様な食文化が混ざって(チャンプルー)出来上がっているのが大きな特長です。

 伝統的な味付けとして、塩、味噌、鰹節、昆布を多用することに加えて、豚の出汁をよく利用します。(和食ではかつお節や昆布だしは使いますが、そこに豚の出汁を加えることはしないので、これが和食との大きな違いです。)香辛料はほとんど使用せず、豚肉、豆腐、海藻、緑黄色野菜などの食材を組み合わせて調理し、栄養のバランスをとっています。沖縄の料理は「ティーアンダー」(ティー=手、アンダー=油、「心を込めた料理」という意味)と言われ、母親の愛情や美味しい料理を表しています。Café&Meal MUJIでは、開発担当のシェフが実際に沖縄へ行き、教えていただいた伝統料理をお店で再現しました。

ゴーヤチャンプルー

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沖縄を代表する料理「ゴーヤチャンプルー」。「チャンプルー」は沖縄の方言で「混ぜこぜにした」という意味があり、野菜や豆腐に限らず様々な材料を一緒にして炒めます。季節を問わずに作り、野菜のビタミンやミネラル、豆腐や肉のタンパク質、肉や調理油の脂質といった栄養が一皿で色々摂れるよう工夫されています。特にゴーヤにはビタミンCが多く含まれ風邪の予防や疲労回復に良いとされるので、頻繁に食卓にあがります。仕上げにかける糸かつおは、ゴーヤの苦味を消す役割があるそうです。

クーブイリチー

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 「クーブ」=「昆布」をまるごと食べられる料理です。「喜ぶ」(よろこんぶ)からもじってお祝いの膳にもよく登場するそうです。この料理にはかまぼこが入っていることが多いのですが、昔は出汁になるものが少なく、出汁を出すための具材として入れるようになりました。かまぼこの代わりにさつま揚げを入れることもあるそうです。「イリチー」とは沖縄の料理方法のひとつで、料理する素材は水分の少ないものが多く、おもに「炒め煮」に近い料理方法をこう呼びます。

 沖縄では昆布を使う料理が多いのですが、昆布の産地ではありません。もともと中国で薬として重宝されていた昆布を、琉球王朝時代に黒糖と引き換えに大阪で昆布を手に入れて中国へ輸出、その後料理とともに沖縄へ逆輸入の形で戻ってきて、第二次大戦後に家庭料理として広まったそうです。見た目は地味かもしれませんが、ごはんにもよく合うホッとする味です。

人参シリシリ炒め

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 人参の甘みを味わえる料理で、最近の沖縄の家庭でよく登場する一品です。本来「シリシリ」とは「おろしたもの」という意味で切り方のことを指しています。ツナと一緒に合わせたり卵焼きに入れたりと、子どもたちのお弁当にもよく入っている家庭料理です。「シリシリ器」と言われる沖縄独特のスライサーを使いますが、えぐりとるような形で細切りにするスライサーで表面にざらつきがあることで味が染み込みやすくなります。

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 暑くて食欲が落ちる時期ですが、かつおの出汁がきいた野菜たっぷりのやさしい味わいの料理は胃にもたれず、ごはんもしっかり食べられます。季節限定のデリをCafé&Meal MUJIでお楽しみください。

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