Blog

紅茶の産地へ

2013.10.15

 「アールグレイ」と「琉球チャイ」、10月から導入した「サンセットティー」にブレンドされているセイロンティーの茶園を見に、インドの南に位置するスリランカへ。今回は、茶園からオークションまで、”ティーロード”と呼ばれる道をたどりました。

TEA FACTORY 茶園

 スリランカの中心都市コロンボから、中央部の古都キャンディへは車で約4時間。さらにこのキャンディから山間の道を車で2時間ほど行ったところにあるマックウッド社 ラブケリー茶園へ向かいました。この茶園はヌワラエリヤへ向かう途中、標高2000メートルほどの高地に位置します。
 スリランカには低地から高地まで数多くの茶園があります。これら茶園とコロンボを結ぶ道は”ティーロード”と呼ばれ、毎日生産された茶葉がコロンボへと運ばれていきます。

R0018990.JPGR0018996.JPG

(左)畑にポツポツ見えるのが、茶摘みをしている人たち。(右)見渡す限り「茶畑」

 収穫された生葉は茶園内にある工場へ運び込まれ、「萎凋(いちょう)」「揉捻(じゅうねん)」「発酵」「乾燥」「仕上げ」「味見」という工程を経て、紅茶となり出荷されます。

R0019016.JPGR0019011.JPG

萎凋(いちょう)

 生葉をしおらせる工程です。ネットや棚に薄く広げ、葉に含まれる水分を保ちながら、このあとの揉捻(じゅうねん)作業がしやすいように葉を柔らかくするのが目的です。(単に乾かしてしまうだけだと葉が割れて、揉めません。)

揉捻(じゅうねん)

 工場では揉捻機を使って茶葉を揉みます。茶葉の成分は葉の細胞組織の中にあり、葉のままでは普段飲んでいるようなお茶はできません。細胞膜をもみほぐして細胞組織を砕き、中の成分を浸出しやすくして酸化酵素を活性化させることで起こる酸化発酵が紅茶の香り、味、水色(すいしょく)を作ります。

発酵

 酸化酵素の働きで緑色の葉が赤銅色に変わり、紅茶になる工程です。萎凋のときから少しずつ発酵が始まり、揉捻で急速に酸化が進みます。酸化発酵を促進させることで、紅茶としての香りや水色になります。

乾燥

 発酵をとめて茶葉に仕上げる工程です。

R0019003.JPGR0019001.JPG

仕上げ

 荒茶(乾燥終了後、形状がまだ整えられていない葉)を茶葉のサイズで分け、紅茶に仕上げる工程です。粉塵や茎、固い葉脈などを取り除き、茶葉を一定のサイズに揃えます。

味見

 各茶園にあるテイスティングルームは、安定した光量で水色を見るため必ず北側に窓がある部屋が使われています。茶園にいらっしゃるティーテスターは、茶畑へのフィードバックが仕事です。コロンボにいるティーテスターはバイヤーに情報を伝えます。
 メーカーのティーテスターは原料を選んだり、ブレンドしたり、とティーテスターの役割もそれぞれ。

R0019059.JPGR0019049.JPG

このラブケリー茶園の紅茶は、短時間の発酵で軽めの味が特長です。またセイロンティーは舌の真ん中あたりが重たく感じるのが特長ですが、さらに高地でできる紅茶のため上あごに清涼感も感じました。

ティーオークション

 世界中で飲まれているセイロンティーは、”コロンボオークション”というティーオークションで取引されます。コロンボオークションは1839年に設立以来同じ建物で、毎週火・水曜日に開催されています。ここではバイヤーから依頼を受けたブローカーの方がオークションに参加されています。
 今回このオークションの案内をしていただいたラリンドラさんもブローカーの一人。Café&Meal MUJIの紅茶をブレンドしてくださっている株式会社沖縄ティーファクトリーの内田さんは、ラリンドラさんから送られてくる紅茶のサンプルの味見をし、購入したい茶葉はラリンドラさんにオークションで競り落としてもらう仕組みになっています。

R0018845.JPG
R0018857.JPGR0017112.JPG

 各茶園は広大な敷地の茶畑を持っていますが、当然、同じ茶園で出来た紅茶でも、畑の場所によって条件が違うので、出来上がりの味も違います。
 オークションで競り落とす茶葉は全て、「○○茶園 ○○畑 リーフの種類(BOP、BOPF等) ○○kg」と明確にわかります。サンプルにも同じ情報が入っており、購入の際はそこに記入されている量を全て購入しなければならない仕組みです。(そのうちの半分だけ購入、ということは出来ません。)

 この日のオークションはヌワラエリヤとキャンディの間くらいのエリアの茶園のものでしたが、だいたい5~8ドル/kgの価格で競り落とされていました。ただ、各茶葉は「1156kg」や「763kg」といった量になるため、一種類の茶葉の購入金額は数十万円から100万円ほどになります。ブローカーとバイヤーの間に信頼関係がないと成り立ちません。バイヤーは必ず「買う」ことでブローカーの信頼を得ることができるのです。オークションに出されるお茶はどんなお茶も売れ残らないそうですが、出品側は1円でも高く売りたい、買い手側は1円でも安く買いたいため、双方とも価格のトレンドを見ながらオークションに参加します。また、収穫時の産地の天候によっても味や価格がかわるため、そのような情報をどれだけ持っているかが、最終的な商品の品質の良し悪しを左右します。

 競り落とす茶葉ごとに味がかわるので、メーカーではそのたびにブレンドをし直します。いつも同じ味とは限らない茶葉を購入し、ブレンドの種類や量をかえることでいつも同じ味に仕上げているのです。

食事にもデザートにもよく合うサンセットティー

sunset tea.JPG

 日光をたっぷりと浴びた、同じ亜熱帯地域の赤土で育つ沖縄産の茶葉とスリランカ産の茶葉をブレンドした「サンセットティー」。紅茶に含まれるタンニンは、口の中をリセットする効果があるため、ごはんやデザートをもっともっと食べたくなります。太陽の味がする、力強い味わいの紅茶をお楽しみください。

Topics: Column
一覧に戻る