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美味しい理由(わけ) 「北海道産小麦」

2013.11.29

 Café&Meal MUJI南青山、有楽町、グランフロント大阪には他のCafé&Meal MUJIと違い、大きなパンの売り場があります。この3店舗で販売している「北海道ゆめぶれんど食パン」は、その名の通り北海道産の小麦を使っています。日本中がうだるように暑かった8月初旬、心地いい風が吹く北海道の十勝へ小麦畑を見に行って来ました。

 国内では北海道、福岡、佐賀の順で、各地で生産されている小麦ですが、やはり北海道の生産量が日本一。広大な畑が続く風景はヨーロッパのようです。長野や高知、兵庫、東京で見慣れている畑とは比べ物にならないくらい広く、トラクターやコンバインといった農機具もアメリカサイズの大きなものが使われているのが印象的でした。

 元々、関東や東北、関西、四国で作られていた国内産の小麦は、麺用粉がほとんど。小麦に含まれるたんぱく質が中程度(9~10%の中力粉)で、パンや中華麺には向かない小麦の種類です。雨風にも倒れにくく収穫量が見込める品種で、長く生産されているため、麺用粉は約70%を国内産小麦でまかなっています。対してパンや中華麺に使う強力粉は、ほぼ輸入小麦でまかなわれています。ここ数年ほど、パン屋さんや一般スーパーでも「北海道産小麦」の記載があるものを見かけるようになったと思いますが、北海道でパン用に開発された小麦の栽培が奨励されるようになり、広く使われるようになってきました。北海道産小麦の大きな特長は、輸入小麦にはない「もち感」。何かを添加することで出来上がったパンをもちっとさせるのではなく、小麦が持っている本来の力でもっちりとした食感になります。

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どこまでも続くまっすぐな道の横に広がる小麦畑 

小麦の種類

 製菓・製パン材料としてよく見かける「ハルユタカ」のほか、「春よ恋」「はるきらり」といった品種名に「はる」が付くのは「春蒔き」小麦、「ゆめぶれんど」に使用している「ゆめちから」「キタノカオリ」は、「秋蒔き」小麦。「春蒔き小麦」は、その名のとおり春に蒔く小麦、「秋蒔き小麦」は秋に蒔く小麦です。春蒔きは4~5月頃に蒔いて8月中旬頃に刈り取りますが、生育期間が短く収穫量が少ないことと、収穫期が降雨期にあたり作柄や品質が安定しにくいのが欠点です。秋蒔きは冬を越せる耐性があり収穫量の多い品種であることから、生産農家が増えて
きているそうです。

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「はるきらり」の畑(左)と「ゆめちから」の畑(右) 

 小麦は連作ができないため、農家さんは小麦と大豆を隣り合わせで作っていらっしゃいます。小麦が終われば次の年は大豆、大豆の次は小麦・・・というように毎年畑をかえていきます。また小麦は、実が太る前だと小さいままで枯れてしまうので、気温があがりすぎるのも良くなく、雨が多すぎると実に水分が入り発芽してしまいます。今年の夏は雨が続いたため早々に収穫されており、私たちが見に行ったときには多くの畑が刈り取り作業を終えていました。

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はるきらりの麦穂(春蒔きなので、まだ青い穂が見えます)  防風林を境に、左が大豆畑、右が小麦畑 

ゆめぶれんど

 「ゆめぶれんど食パン」で使っている北海道小麦「ゆめぶれんど」は、アグリシステム株式会社が作られた
パン用粉。「きたほなみ」「ゆめちから」「キタノカオリ」の3種類をブレンドしています。一般的に「きたほなみ」と「ゆめちから」の2種類のブレンドが多いそうですが、「キタノカオリ」という小麦の香りが強い品種を
入れることで、パンが焼きあがったときに香りがたつようにしているそうです。

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 そんな小麦を使った「北海道ゆめぶれんど食パン」は、小麦の香りと甘みを味わえるシンプルなパン。そのまま食べても、トーストでも美味しく飽きのこない味です。

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